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日常の喜怒哀楽を写真付きで綴るエッセイ

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ブラックライトな男

ある夏のお昼過ぎ、30歳代ぐらいの男性から「照明機具をいろいろと買ってきたけど取り付けられないので取り付けてください」との電話を受け、早速、現場へ行くことにした。

大型マンションの一室に到着すると待っていたのは、20歳代中半でタンクトップに短パン姿、髪の長いとてもカワイイ女性だった。しかし、声は先ほど電話で話した30歳代ぐらいの男性だった。(そういうことだ)

少し広めの1LDK。引っ越して来たばかりで部屋の中は散らかり、その中に今買ってきたと思われる照明機具が数点があった。パッと見、天井直づけの器具やシーリング形状が違うので自分で取り付けることが出来ず電話したんだなぁーってことがわかった。

ただ、照明器具の電球や蛍光管を見て私はギョッとした。

それは全て『ブラックライト』だったからだ。

まさかと思い確認すると、玄関はこれ、リビングとキッチンはこれ、トイレと洗面所と浴室はこれと指定し、既存の照明機具を外して全てブラックライトに交換してと言う。

解説:ブラックライトとは、電球や蛍光管が黒く点灯させると物質が蛍光塗料を塗ったかのように青く光り輝き、ディスコやクラブ、熱帯魚やクラゲ鑑賞などの特殊な照明に用いられる。

再確認しても間違えないというので作業を開始すると、彼、いや彼女はベットに横になり「じゃーよろしくねっ♥」って女声で可愛く言って眠り始めた。

作業開始から30分もすると、彼女のタンクトップは上にめくれて可愛いオッパイが露出し、パンティーさえも見える状態なのだ。

相手は同性なんだと分っていてもこれが男の性ってやつでどうしてもチラ見してしまう。これはイカン。無視。無視。無視...

 

 

 

 

 

 

 

引っ掛けシーリングの交換など電気工事を済ませて作業終了。

部屋のあかりスイッチ....オン!

白が白じゃないし黒が黒じゃない。

おぉぉー なんて幻想的な部屋なんだ。

お客様は、私の驚きとは対照的に感激しているのである。

本当これでいいんですか?と聞くのも怖くなり、何も言わずさっさと代金をもらって帰った。

それから約2週間後。同じ人から作業依頼電話が来た「ガラス窓に黒のフィルムを貼ってほしい」とのご依頼で、フィルム貼りの道具を揃えて現場へ...

さっそく作業開始するのだがブラックライトが点灯している部屋の中。目がチラついて作業は困難をきたした。(やっとられん)数時間かかり作業終了。

手を洗うために浴室へ

まさか、風呂にまではないだろうと思いながらも浴室のあかりスイッチオン!

私が甘かった、予想どおり浴室でもブラックライトは点灯した。

また台所でもブラックライトが点灯した。

この家では、ブラックライトしか点灯せず、窓ガラスもブラックフィルムで、自然色はまるでないのだ。

帰り際、玄関口に”寿司屋の出前おけ”が置いてあったので、私は聞いてみた「この部屋で食事されていますよネ?」

するとお客様は「えー、していますよ!」と...

私には次の言葉が見当たらなかった。

ブラックライトで輝き自己主張する『しゃり』と、しゃりの上にある『寿司ねた』はどのような色に?

そしてそのような味になるのかこれは科学者でも想像できないだろう。

なんとなくイカはホタルイカに変身し美味しそうな気もするが。(笑)

お客様宅からの帰り。商店の看板、人の顔、その他、街のあらゆる物の色が変色して見え寝るまでその現象は続いた。

そのまた半年後。

テレビ配線の事でその家に行ったが相変わらずブラックライトしか灯かなかった。

世の中は広い。

現実この「ブラックライトな男」は存在している。

ついでに別件として1つ...寝室の電球を赤にしてミラーボールの取付け工事をしたことがある。これは男として認めてあげようと思う。

編集後記:今回ブラックライトな男で照明の異常さを紹介したが、外国の室内照明も私からすれば異常ではないかと思える部分がある。

それは間接照明の薄暗い部屋に居るのかがよくわからないからだ。

そんな暗い家に住んでいるから「ジェイソン」や「ゾンビ」や悪魔などが出るのだと私は思っている。

「摩訶不思議」は、昔し昔しの話しである。

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