■へっぽこラストサムライ
2005年5月25日、夕方過ぎに天神駅から西鉄電車に乗り込んだ。
満員状態だったので入り口付近に立っていたが、入り口付近で立っていると、痴漢に間違われはしないかとふと頭を過り、どこか吊り革を持てる場所はないやろろか...と背伸びして見渡したら、奥に1カ所だけ吊り革が空いているのを発見した。
これはラッキーだと思い私はカニ歩きで吊り革の斜め前までやってきたらば....、
なんと! 椅子に座っているジーンズ履いたスニーカーの奴が大きく足を組んでいて吊り革の前に立つこともできないのだ。
そうかぁ、足しか見えないが「どうりでここの吊り革だけが空いていたのか」と理解できた。
私のカニ歩きが止まった。
しかしだ、よ〜と考えたらわざわざカニ歩きしてまでやってきて、足を組んでる奴がいるからと引っ込んでいくのは私の正義が許さん。っというより逆に恥ずかしい。
普段電車に乗ることのない私は、この時こう思った。
電車のマナーはよくわからんが、なして満員電車でこげん大きく足を組んでる奴に誰も注意ばせんとな? おのれら毎日同じ時間、同じ車輛に乗っていながら、こけな非道ば見逃していいとな? ヤクザでも筋の通らんことはさせんぞと...
よ〜し、ここはワシの出番じゃ!
いっちょ、ガツンと注意ばカマしちゃるばい!
満員電車で足ば組んとる奴、てめぇ〜待っとれよ!
そして一度止めたカニ歩きをまた始める我が輩であった。
もめそうな予感はするが、これも我が輩の運命なのだ。
では次に進むぞ...
私はついに、大きく足を組んでいるジーンズ履いたスニーカーの奴までやってきた。
キサァ〜ン、どげな奴が足ば組んどるとな。そう思い足から順番に観察していく。スニーカー → ジーンズ → 英語の本 → Tシャツ
(ん?英語の本? なんや、英語の本やら読んで、なんばツヤこいとぉ〜とな)
Tシャツ → ブロンズヘアー → 口紅 → 目が青い、
ゲゲッ! こいつ外人の女やんけ!
それも体格のよか30歳代のメリケン人風やんかぁ!
冷や汗タラリ。
さっきまで「ガツンと注意ばカマシちゃるばい」と意気込んでカニ歩きしてきたとはいいが、メリケン人の女性に何と言ってガツンとカマしたらいいとかいな?
・・・・・・・・オラ困った。
ワシ、英語やら、まったく喋れんけんね。゚ロ゚!l|
私は体が斜めになりながら吊り革を握り締め完全にフリーズしとった。
頭の中で思いついた単語は「ユー、チェア、フット、キャンユースピークジャパニーズ、ナイストゥミチュ、ハロー、ファックユー、ブッシュ」そんなもんだ。
この単語だけの組み合わせてカマさないかんとは.... 無謀だ。
たつ、至上最大のピンチ!
冷や汗をかきフリーズしたまま時間は流れた...
このフリーズしている間に思い出したが、小泉総理が対外政策で「対話と圧力」と言うとったな。私は英語が喋れんので「対話」はまるでできそうにない。
つ〜ことは残るは「圧力」だ! ←これなら英語はいらんぞ。
この際、男女にマナーの違いは関係ありゃせん。
組んでいる足に、自分の足を徐々に押し付け圧力をかけいき、足を組ませるのを止めさせればいいっちゃん。
よ〜し、女性だろうと一発カマしちゃるばい!
(少々卑怯な手だが、これしか方法がない)
押し込めるぞぉ、負けないぞぉ。目には目を歯には歯を、足には足をだ。
私は、スネを生かし相手の足をグイグイと押し込む。よしよし、いい調子だ。 どうだ我が輩の圧力は! ぎゃはははは....
コラッ、メリケン人。足は組んだままやけど、内心かなりビビッとるやろが。
日本男児をナメんじゃねぇ〜ぞ! ←オイオイ
これは西鉄電車内で起こっている無言の戦争なのだった。
圧力も徐々にかけていくと、私は普通に直立して吊り革を握ることができた。
しかし、足は組んだままだ。でも、これ以上押し込んでいくと私は吊り革の前に立ってしまう為、逆斜めに「ふんぞり返ってしまう」のだ。それは誰が見ても私が嫌がらせをしているようにしか見えん。
本来、まっすぐ立てたのだから、これで示談してもいいのだが、今後の日本、今後の西鉄電車、今後の対外交の為にもならん。
悩む、どうするべきか....
頑張れオレ!
腹をくくった。英語は喋れんが何とか対話するしかない。
私は組んでいる足を、トントンと叩き話すきっかけを作ろうとする。
しかし、完全無視を続けているメリケン人。
私も負けじと、 今度は強くトントンと叩いた。すると、いままで数分に渡って無言の戦いをしてきて始めて目と目が合った。
私は「あんね、オタクは満員電車で足ば組んだら吊り革に立とうとする人の邪魔やけん、足ば組むのを止めんね」とジェスチャー付きの博多弁をブチ込んでやった。(ジェスチャーを文章で説明できんのが残念)
しかし、メリケン人は私のスネ攻撃が嫌だったのか、「ハァン?あんたバッカじゃないの?」という態度をし2秒目が合っただけで完全無視。足を組むのを止めず英語の本を読み始める。
うぅぅぅぅぅ・・・・
もしかしたら、私のジェスチャーが意味不明なのか?
電車の中、誰か英語を喋れる奴が協力してくれんのか?
私が注意している声を20人は聞いとるはずだと思い周囲を見回すが、誰とも目が合わん、それどころか私の隣に居たサラリーマンらは、私から離れて行こうとするのだ。なんじゃなんじゃお前らは!
これが日本男児の姿か!
大和魂を持っとらんのかお前らは!
(ストーリーは別、台詞のみイメージ) 一人で立ち向かっとるワシに協力する味方もおらんとは情けない。
もうよか。ダメ元でもう一回や。
今度は、わかりやすく、ゆっくり丁寧にオーバーアクションでブチ込んでやる。いくぞぉ!
足をトントントン。
「あのね、この足、組む、電車、邪魔、交わる足、止めんね、OK?」
今度は華麗なる完璧なオーバーアクション。キマッタぜぃ。
これなら伝わったやろ。
すると... メリケン人.... 完全無視。
こいつには伝わらないのか!!
まいった....、こやつ敵ながら
(ストーリーは別、台詞のみイメージ) ・
・
・
・
・
・
・
・
すると、電車のアナウンスがなりブレーキがかかる。大橋、おおはし〜
(私は大橋駅で降りる)
拙者、日本の為に精一杯頑張ったが酬われんやったようだ。
無念でござる!
そう心の中で思った瞬間、私は大きな声でつい言ってしまった。
「なんやこの外人くさぁ! 癖の悪かぁ!」
1車輛中に伝わる負け犬の遠吠え。
情けなく恥ずかしいったらありゃしねぇワン。武士の世界なら切腹もんだが、平成の世だし、もう駅に到着したけん、
まぁ、今日はこれくらいで勘弁しちゃる。
しゃ〜ないやんね。はっはっはっはっはっはっは
拙者、へっぽこラストサムライでござる.... (^_^;)
「喜怒哀楽」では、「たつの言いたい放題」を自己中心的に書き綴るものである。もくじへ戻る 表紙へ戻る
2005/5/25 天神発18時半頃の急行電車(天神〜大橋)で怒鳴ってたのは私だ。
文句ある奴は日本語で言うてこい。ぎゃはははは...