お見舞に行こう
それは、50代の女性が公衆電話からかけてきた依頼だった。
「大事な依頼をしたいので、◯◯喫茶店に来てください。どう言う依頼かは電話では言えませんので直接お話ししたい」と言うので早速◯◯喫茶店へと向かった。
◯◯喫茶店で会うと、やはり50代の女性で普通の感じで事情を(言い訳)を1時間以上も話したのち、私を信用したのだろうか?、やっと仕事の依頼(本題)を話し始めた。
依頼人は、今いる◯◯喫茶店の近所にある、◯◯病院の入院患者で(つまんで話すと)4人部屋に居るのだが、依頼人は友達や知人、身内に自分が入院している事を知らせてないので誰も「お見舞に来ない」と言う。
それも、他の患者3人は特にお見舞が来るらしく「よかったら皆様でと」お茶菓子を置いていく為、もらいっぱなしで悪いから「明日、指定したお菓子を持って私の見舞に来て」と言う依頼である。
しかし、この依頼はそれにプラスしなければいけない!
そのプラスとは、必ず言わなければいけない「せりふ」を順番とおり言わなくてはいけなかった。(途中はアドリブも含む)
「奥様が入院してたなんて全然知りませんでした.....大丈夫ですか?」
「いやーこれくらいの入院なので誰にも知らせなかったのよー」
etc.........(30分)
「よかったら、皆様で食べて下さいと」他の3人の患者にお菓子を配り作業終了した。
作業終了後、昨日の◯◯喫茶店で再度待ち合わせをして報酬をもらう。
依頼人は、とても満足そうに「ありがとう」と言ってくれた。
「また、お願いするかも知れないけど、私と同年代で「姉妹」(役)の様な方は用意出来ますか?」と.....
「その年代になると、ちょいと値段が高いですよ」と言ったら考えこんでいた...
お見舞を、本人の依頼で行くのは始めてだった。
私には解っていた!
見栄っぱりな人なんだと。
身内からほったらかされている感じが伺えた。
入院してまで「世間体や見栄」を張る事を考えているようじゃ、いつまでたっても身体が回復しないだろうけど....
まあ、そんな事は仕事と割り切ってプロに徹する事にしている。
このミッションを完璧に実行できたことが私の誇りである。
本人の葬式出席も受けますので必ず先払いでお願いします。
だだし、涙を流す場合は割高となりますので宜しくです。
いろんな人がいる。これもまた勉強だな!
「摩訶不思議」は、昔し昔しの話しである。